コラム

共同配送とは?メリット・デメリットや解決すべき課題を紹介

「共同配送」とは、効率的な物流管理やコスト削減を実現する仕組みです。
物流業界では、人手不足や顧客ニーズの多様化などを背景に、共同配送という新たな取り組みが注目されています。

この記事では、共同配送の基本概念やメリット・デメリット、導入する際の課題について解説します。

 

共同配送とは

「共同配送」とは、「配送先が重複または近接している複数の荷主の配送物を、共同配送事業者が集約して効率的に配送する」というものです。
配送効率や生産性の向上が主な目的で、企業や業界の枠を超えた取り組みとして大手企業も注目し、導入を進めています。

共同配送の主な事例

共同配送の具体的な事例としては、以下のような取り組みが挙げられます。

  • 同一地域に店舗を構えるスーパーの物流拠点統合・共同配送化
  • 混載スキームによる輸送効率の向上
  • 大手コンビニ2社による共同配送
  • 大手食料品メーカー・飲料メーカーによる共同配送

例えば、コンビニ大手のファミリーマート、ローソンの2社は、配送車両の台数やCO2排出量の削減を目的として、東北地方の一部地域において、アイスクリームや冷凍食品などを対象とした共同輸送を行っています。
また、同様の方法はインフラを担う業界でも広がりつつあり、医薬品や医療器具の配送や、LPガス配送事業者などでも行われてきました。

共同配送が注目される背景

共同配送が注目される背景として、社会問題化している「トラックドライバーの深刻な人手不足」や「燃料価格の上昇 」、またコロナ禍以降急速に進んだ「顧客ニーズの多様化」などが挙げられます。
これらは物流業界全体の課題であり、ほぼすべての企業が問題視していると言っても過言ではないでしょう。

これらの課題を解決する方法として注目されているのが、共同配送です。
共同配送によって配送効率や生産性の向上が実現すれば、物流業界全体の課題解決につながると考えられています。

また、前述の通り、共同配送は複数の事業者が互いに協力して取り組む必要があるため、参画するすべての企業にとってメリットがあることが前提となります。

共同配送のメリット

共同配送には、具体的に次のようなメリットがあります。

積載率の向上

共同配送では、複数の事業者が連携し、同じ方向に届ける荷物は1つのトラックに積み込んで配送するため、トラックの積載率を向上させます。
     
荷物を積んでいない無駄なスペースの発生を防ぐことができるため、配送効率や生産性の向上が実現するでしょう。

労働力の有効活用

共同配送は、物流業界における労働力の有効活用を可能にします。

複数の企業が協力し合うことで稼働するトラックの本数を削減できるため、ドライバーや物流スタッフの負担を分散させ、人材をより効率的に配置できるようになります。
物流業界が直面しているドライバー不足やドライバーの長時間労働の解決につながるのはもちろんのこと、従業員が働きやすい環境が実現すれば、離職率の低減や、新たな人材獲得にもつながるでしょう。

関連記事:ドライバー不足を対策するには?現状や物流業界における2024年問題への対処法も解説

配送コストの削減

共同配送は、個別配送に比べて、大幅なコスト削減を実現できるのもメリットです。

共同配送では複数の企業間で配送ルートを共有するため、ルートが重複するのを避けられます。
重複による無駄を排除できれば、トラックの燃料費やドライバーの人件費を削減でき、生産性向上や競争力の確立につながります。

関連記事:物流コストとは?内訳や上昇の原因、削減方法を解説

CO2排出量の削減

環境保護の観点からも、共同配送は非常に有益です。

前述の通り、積載率が向上し、配送効率が高まれば、トラックの運行回数を減らすことができます。
これにより、燃料費や人件費の削減だけではなく、結果としてCO2排出量の削減も実現できるのです。

カーボンニュートラルの実現に貢献できるうえに、このような取り組みは、企業の社会的責任(CSR)活動の一環としても評価されます。

共同配送のデメリットや課題

共同配送には、多くのメリットがある一方で、注意したいデメリットや課題も存在します。

協力体制の構築が必要

共同配送の実現には、同業他社との情報共有や協力体制の構築が必要です。

共同配送を始めるにあたっては、段ボールやパレットの規格を統一したり、効率的な配送ルートを決めるための仕組みづくりなど、さまざまな議論が必要になるでしょう。

信頼関係の構築やコミュニケーションの確立が共同配送成功のカギとなります。
特に、トラブル時の責任の所在が不明確になりがちなため、事前にしっかりと話し合って決めておくことが重要です。

コスト分担が難しい

共同配送においては、各企業間でのコスト分担が難しいことがあります。

配送距離や積載量に応じた公平なコスト分担をどのように決定するのか、各社で慎重に話し合う必要があるでしょう。

また、配送料金の設定や請求方法についても相談しながら決めなければなりません。

配車管理・追跡が複雑

共同配送は複数の企業が関わるため、配車管理やルート計画がより複雑になります。
荷物の追跡や配車スケジュールの管理が煩雑になる可能性があるため、共通システムを導入し、一元管理することが重要です。

臨機応変な対応がしにくい

共同配送は、臨機応変な対応が難しい場合があります。
急な配送依頼や荷物の変更、ルートの変更などにはどう対応するか、緊急時の対処法などは、事前に決めておくことが重要です。

また、荷物や配送先に特別な配送条件がある場合も、共同配送ではスムーズな対応が難しくなってしまうケースがあります。
これらは配送管理システムなどを併用することで解決できる場合もあるため、自社に合った方法は準備段階でしっかりと検討しましょう。

共同配送のメリットを活かして持続可能な物流を目指そう

共同配送を導入することで、トラックの積載率が向上し、運行回数を減らせるようになります。これにより、人手不足の解消やコスト削減、CO2排出量の削減など、さまざまなメリットが期待できるでしょう。

また、特殊性の高い配送業務の場合は配送が複雑化してしまうため、共同配送に加えて特化型の配送管理システムを併用することで、共同配送のメリットを最大限発揮させることができるかもしれません。
          
共同配送を導入するなら、ぜひ配送管理システムとの併用を検討してみてはいかがでしょうか。