物流コストとは?内訳や上昇の原因、削減方法を解説
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物流コストとは、製品や商品を顧客に届けるまでに発生するすべての費用のことです。
近年、燃料価格の高騰や労働力不足、配送需要の多様化などにより、物流コストが上昇傾向にあります。
参照:日本ロジスティクス システム協会「2023年度 物流コスト調査報告書【速報版】」
この記事では、物流コストの具体的な内訳、上昇の原因を踏まえた削減方法について解説します。
物流コストとは
物流コストとは、単にモノを移動させるためだけではなく、物流業務全般にかかるコストを指します。
モノを顧客に届けるまでに発生する輸送費以外にも、保管費や包装費、荷役費、管理費など、多岐にわたる項目が含まれます。
物流コストの内訳
公益社団法人日本ロジスティクス協会が公表した「2022年度物流コスト調査報告書【概要版】」によると、物流コストを機能別に分類した際の構成比は、以下のようになっています。
- 輸送費 55.1%
- 保管費 16.9%
- その他(包装費、荷役費、物流管理費) 28.0%
それぞれどのようなコストなのか、詳しく見ていきましょう。
輸送費
輸送費とは、モノの移動に直接的にかかわる費用のことです。
具体的には、以下のようなコストが輸送費に該当します。
- 車両費用(チャーター費、自社車両の減価償却費など)
- ドライバーの人件費
- 燃料費 など
また、「2022年度物流コスト調査報告書【概要版】」では、2021年に実施した「物流コスト適正化への効果が大きかった施策」に関する調査結果も公表されており、「輸配送改善」「輸配送経路の見直し」など、輸送費に関連するものが多く挙げられています。
物流コストの約半分以上を占める輸送費は、その削減効果も大きく、多くの企業がコスト削減に向けた取り組みを行っていることが分かります。
保管費
保管費とは、製品や商品を保管するための費用です。
具体的には、以下のようなコストが保管費に該当します。
- 貸し倉庫の賃借料・管理費
- 自家倉庫の減価償却費・管理費
- 倉庫にかける火災保険の保険料 など
外部の貸し倉庫を利用するのか、自家倉庫を利用するのかにより、保管費は大きく異なります。
いずれの場合も倉庫の規模に応じて火災保険料や管理費(人件費・水道光熱費など)がかかるため、適正サイズの見極めや過剰在庫の削減、直送化などの取り組みが必要になるでしょう。
その他
物流コストとしては、ほかにも以下のような費用が発生します。
- 包装費
- 荷役費
- 物流管理費(システム費・人件費など)
包装費は商品の梱包にかかる費用、荷役費は荷物の入出庫やピッキング※にかかる費用を指します。
受発注システムの導入費や、物流担当者や倉庫内作業員などの人件費は、物流管理費に含まれます。
物流コスト全体に占める割合は大きくないものの、梱包の簡素化やピッキングの効率化、アウトソーシングなどにより、コスト削減を目指す企業も多いようです。
※ピッキング:自家倉庫から伝票や指示書をもとに出荷する商品を探して取り出す作業のこと。
物流コスト上昇の原因は?
物流業界では、さまざまな原因が重なり、ここ数年物流コストが上昇しています。
その主な原因は、以下の2つです。
燃料価格の高騰
2022年2月24日に、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が開始され、天然ガスや石油などの燃料価格が世界的に上昇しました。
燃料価格の上昇は、トラックや船舶、航空機などの輸送手段を用いる物流業界にとって、直接的なコスト増加を意味します。日本でもガソリンなどの燃料価格が高騰し、物流コストが上昇しています。
人件費の増加
少子高齢化の進行による労働者人口の減少とともに、2024年の自動車運転業務の時間外労働時間の上限規制の見直しの影響で、物流業界の人材不足は深刻化しており、2024年問題として危惧されています。
さらに、コロナ禍以降、オンラインショッピングの利用者が増えたことから、配送需要は増加傾向にあります。
特に都市部での配送頻度が高まり、時間指定といった顧客ニーズも多様化しているため、配送ルートの効率化が一層困難になっています。
柔軟かつ効率の良い配送計画を作成するには、荷物や配送先の情報、車両やドライバーの情報、その日の道路事情など、さまざまな情報を把握しなければいけません。
そのため、これまでと変わらないサービスの質を維持するには、新たな人材の採用や教育に時間やコストをかける必要があるのはもちろん、知識や経験が豊富なベテランドライバーを確保し続けるための人件費の増加は避けられないと言えるでしょう。
関連記事:ドライバー不足を対策するには?現状や物流業界における2024年問題への対処法も解説
物流コストを削減するには?
物流コストを削減するには、業務効率化による生産性向上が不可欠です。
物流業界で業務効率化を実現する方法としては、物流拠点の集約や在庫管理の最適化、配送ルート作成システムの導入などさまざまなものがあります。
物流拠点が複数存在している場合、それを集約することによって、倉庫の設備費や人件費はもちろんのこと、拠点から拠点へ荷物を転送するコストも削減することが可能です。
さらに、入出庫システムなどを活用して在庫管理を最適化すれば、作業が効率化されることによる人件費の削減や、在庫の把握が容易になることで、在庫の保管・管理費の削減にもつながるでしょう。
なかでも、手軽に実践できるのが、「配送ルート作成システム」の導入です。
多様化する配送需要に応えるための効率的なルートをシステムが自動作成し、配送にかかる時間と距離を効率的に削減します。
ドライバーの精神的負担や労働時間を減らすことができるうえに、燃料費の節約にもつながるでしょう。
配送ルートシステムの導入によって無理やムダがなくなれば、配送員の労働環境の改善にもつながります。新たな人材の採用や柔軟な人材配置も可能となり、物流コストの削減だけではなく、長期的なメリットも大きいと言えるでしょう。
配送ルートの自動作成で物流コストを削減しよう
物流コストを削減するためのキーワードは、「業務効率化」と「生産性向上」です。
業務効率化にはさまざまな手段があるため、自社に適した方法を選ぶのがポイントです。
その手段の一つとして、配送ルート作成システムの導入が挙げられます。
配送ルートの自動作成によって、より効率的なルートで配送できるようになれば、物流コストのなかでも大きな割合を占める輸送費を削減できるでしょう。
物流コストの削減方法を検討している企業の方は、ぜひ配送ルート作成システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。