LPガス・プロパンガス配送に関わる仕事では、配送業務にはもちろん、より高度な作業をするために必要な資格が複数あります。
この記事では、LPガス・プロパンガス配送に必要な資格、あると良い資格を一覧にして紹介するので、ぜひ参考にしてください。
LPガス・プロパンガスの配送の配送に必要な資格にはさまざまなものがありますが、もし資格を持っていない場合でも、入社後の研修期間中に資格の取得ができたり、資格取得のサポート体制が整っていたりする事業者も多いため、資格がないからと諦める必要はないでしょう。
まずは、LPガス・プロパンガス配送に必要な資格を3つ紹介します。
充てんされたガスボンベをトラックで運ぶLPガス・プロパンガスの配送員にとって、必ず必要な資格は「自動車運転免許」です。
LPガス・プロパンガスの配送だけなら、自動車運転免許があれば業務を行うことができます。
ただし、業務で使用する車両によって大型、中型、準中型、普通など、必要な免許の種類が異なる点に注意してください。
高圧ガス移動監視者は、質量3,000kg以上のLPガスを配送する場合に必要な資格です。
そのため、配送するLPガスの質量が3,000kg未満の場合は資格は不要です。
また、質量3,000kg以上のLPガスを配送する場合であっても、配送車の運転だけであれば資格がなくても業務は可能です。
ただし、運転者が資格を保持していない場合は、必ず高圧ガス移動監視者の資格保持者を同乗させる必要があるため注意しましょう。
高圧ガス移動監視者の資格は、高圧ガス保安協会による講習を受講し、筆記検定に合格すれば取得できます。
参照:高圧ガス保安協会「高圧ガス移動監視者講習」
LPガス・プロパンガスの配送のとき、ガス供給設備や消費設備の点検・調査業務が伴う場合があります。
保安業務員は、その作業を行うために必要な資格です。
そのため、高圧ガス移動監視者資格同様、配送車の運転だけであれば不要な資格となります。
取得するには、高圧ガス保安協会による2日間の講習を受講し、筆記検定に合格したうえで、実務経験を6ヶ月以上積まなければなりません。
調査員もガス供給設備の一部・消費設備の点検・調査業務を行うために必要な資格です。
高圧ガス保安協会による1日間の講習を受講し、筆記検定に合格すれば取得できます。
ただし、保安業務に携わるためには、6ヶ月以上の実務経験が求められます。
いずれの資格も実務経験が必要なため、未経験の方は入社後に取得しましょう。
参照:高圧ガス保安協会「保安業務員講習」「調査員講習」
LPガス・プロパンガスの配送員として業務に携わる際には、以下の資格も取得していくと良いでしょう。
充てん作業者は、バルク供給設備への充てん作業に必要な資格です。
高圧ガス保安協会による3日間の講習を受講し、検定試験に合格することで取得できます。
実施時期は不定期のため、詳細については問い合わせて確認しましょう。
参照:高圧ガス保安協会「充てん作業者講習」
液化石油ガス整備士は、家庭向けなどのガス供給設備の整備や、設置工事などを行うために必要な資格です。
資格を取得するには、講習・検定試験を受けて取得する方法と、国家試験に合格して取得する方法があります。
また、資格を取得した後にも、法令で定められた期間ごとに再講習を受けなければなりません。
参照:高圧ガス保安協会「液化石油ガス設備士講習」
液化石油ガス設備士の資格を保有している方が、ポリエチレン管・配管用フレキ管を施工したい場合に必要な資格です。
高圧ガス保安協会による講習を、ポリエチレン管の施工なら1日間、配管用フレキ管の施工なら2日間受講し、検定試験に合格することで取得できます。
参照:高圧ガス保安協会「ポリエチレン管の施工に係る講習」「配管用フレキ管講習」
第二種販売主任者は、キャリアアップに必要な国家資格です。
取得すれば、家庭用LPガスなどを販売する販売所の業務主任者・業務主任者の代理者として選任されることができます。
取得するには、国家試験に合格する必要がありますが、所定の講習を受講することで、受験科目が一部免除されます。
参照:高圧ガス保安協会「高圧ガス販売主任者講習」
第二種販売主任者を取得した後、6ヶ月の実務経験を積むと業務主任者に選任されることができます。
業務主任者に選任された場合は、定められた期間ごとに、高圧ガス保安協会などが実施する業務主任者講習を受講しなければなりません。
参照:高圧ガス保安協会「業務主任者講習」
LPガス・プロパンガス配送に必須の資格は自動車運転免許ですが、そのほかの資格は、いずれも難易度は高めです。
入社後の研修や資格取得支援制度によって資格取得を目指せるケースもありますが、講習受講や実務経験が必須となっている資格もあり、必要な資格の取得に数ヶ月間はかかるのが一般的です。
また、LPガス・プロパンガス配送は物流業界のなかでも特殊性が高いです。
資格の取得に加えて、配送先や充てん所に関する情報はもちろん、担当エリア内の地理や道路事情を熟知する必要があるため、新人が一人前になるまでに時間がかかる傾向にあります。
柔軟な人材配置が難しいことから、人材不足に悩む事業者も少なくありません。
そのため、配送員一人ひとりのキャリア支援として研修や資格取得支援制度を充実させている事業者は増加しており、労働環境改善のための取り組みも積極的に行われています。
さらに、難易度の高い配送計画の作成業務を自動化するシステムなど、LPガス・プロパンガス配送事業者に特化した業務効率化支援サービスも増えています。
このようなサービスを有効活用しながら新人育成にかかる期間を短縮し、配送員一人あたりの労働生産性を高めることが、社会問題化している人材不足の解消につながっていくでしょう。
関連記事:LPガス配送とは?プロパンガス配送との違いも分かりやすく解説
LPガス・プロパンガスの配送業務を始めるために必要な資格は「自動車運転免許」のみです。「高圧ガス移動監視者」や「保安業務員」などの資格は、入社後の研修や資格取得支援制度によって取得できる場合も多いため、それほど心配する必要はないでしょう。
しかし、LPガス・プロパンガスの配送員としてキャリアアップを目指すなら、複数の資格を取得しておくことをおすすめします。
資格取得までには数ヶ月以上かかることもありますが、自身の仕事の幅を広げることにつながります。
さらに、配送計画自動作成システムなどの支援サービスを活用すれば、一人ひとりの生産性向上につながり、キャリア形成にも役立つでしょう。
「人材の確保が難しい」「新人育成に時間がかかる」とお悩みのLPガス・プロパンガス事業者の方は、ぜひ配送計画自動作成システムなどの支援サービスの導入を検討してみてはいかがでしょうか。